
北杜市の教育委員会は、市立中学校8校を2校に再編する計画をすすめています。東京23区の面積に匹敵する同市内に中学校をわずか2校に統合する案に保護者や住民から「通学距離・時間が大幅に増え、子どもたちや保護者に大きな負担。大規模化で不登校が増えることや地域の過疎化も心配だ」と不安の声が上がり、再検討を求める市民運動が広がっています。
◇さまざまな疑問が
中学校統合について市は、学識経験者を含む「中学再編審議会」の議論を経て、2022年に小中一貫校への統合案や中学校を2~3校に再編するなど3案を併記した答申を出しました。
こうした動きに元教員や中学校保護者などでつくる市民グループは「北杜の教育・中学統合を考える会」を結成し、審議会委員でもある学識経験者を招いた学習会を開くなど、統合の可否だけでなく学校教育についても議論を深めてきました。考える会は繰り返し、学習会・議員との懇談会・教師との懇談などにとりくみ、統合に不安を持つ多くの市民を巻き込んだ運動に広がっています。
市は、審議会答申後、「中学校再編検討委員会」を設置。委員会は「8校を廃校し、新設校2校を基本に検討を進めていく」方針を示し、市内8カ所で2回目の地域説明会を開催。全体で564人が参加し、市民から「通学距離が不安」「学校と地域のつながりはどうなる」「新設校の予算規模はどうなるか」などさまざまな疑問の声が上がりました。
◇住民合意が最優先
考える会は、説明会で出された多くの市民の声を議会に反映させようと市長・教育長あての署名運動に取り組むことを決めました。要請署名は、市民との対話で合意できる「案」の再検討と子どもが安心して学べる環境、市民が安心して暮らせる学校などの公共施設の配置を求めました。
署名には、地域を訪問して300人分集めてくれる人や保護者仲間に次々と声をかけて集めてくれた人など多くの協力が広がり、短期間で3391人分が集まりました。考える会は9月5日に市役所を訪ね署名を提出。さらに、統合案が審議される来年3月議会に向けて多くの署名を集めようと取り組み、現在5600人分を超える署名を集めています。
同会の呼びかけ人の深沢久さんは「いまの学校教育は競争が激しい、教員への管理が厳しく教員自身の自主性が発揮できないなどの問題がある。会では統合案だけでなく、そのことを一緒に考えていこうと強調してきた。統廃合は子どもの発達にとってどう影響するか、地域にとっての学校の役割はどうあるべきかを同時に考えていくことが重要で、住民が納得できる合意をつくっていくことが必要ではないか」と話しました。
市が小・中学生から集めたアンケートでも「新しい仲間が増える」という声の一方、「大勢の人になじめるか不安」という意見も寄せられています。
日本共産党市議団(清水進、志村清両市議)は、5校あった中学校を1校に統合した県内身延町の先例も示し「同町では10数年間で生徒数は25%も減少している。2校化は市のさらなる子どもの減少に引き金を引く」と2校統合案に当初から反対し「2校案のスタートは市の『新・行政改革大綱』であり、子どもたちの教育環境より財政問題を最重要に位置付ける『総合計画』が背景にある」と指摘。「統合ありきでなく、あくまで住民合意を最優先にすすめるべき」と訴えています。
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