山梨県が保育園待機児童をゼロと発表していることに対して、育児休業明けに保育園に入れない体験をもつ多くの保護者から「実態が違う」と怒りの声があがっています。
実際は育休延長や離職
保育園探しに苦労したママたちは4月に「保育園待機児童問題を考える実行委員会」を立ち上げました。16日には「会」としてはじめて、甲府市でシンポジウムを開催。4人のパネリストが実態を告発しました。

1才7か月の子をもつ甲斐市の女性は「職場復帰をめざしていたが、4月の年度初めでないと入れないと言われ、保育園の空きを探したが見つからずやむなく育休を延長した。ママたちは入りたい時期に入れない人や入園が大変だから仕事をやめてしまっている人がいるのが現状です」と話しました。
保育士さんは「お母さんから育休明けの切羽詰まった問い合わせが多く応えられなくて切ない。育休制度をしっかりとれない現状を痛感する。保育士確保が大変なので行政がそのための施策をしてほしい」と訴えました。
会場からも「私も困った」と発言が相次ぎました。同会のアンケートでも保護者から多数の切実な声が寄せられました。まとめで実行委員会の豊木桂子さんは「何よりも県の『待機児童ゼロ』を変えさせること、その解決の対策を行うようみんなの声を届け、県に要請したい」と話しました。
「実態に合った調査、対策を」
厚労省が発表した昨年10月時点で保育園の待機児童をゼロとしているのは山梨県を含めて4県です。日本共産党の小越智子県議は、「現実に入れない子どもがいる実態に合った調査をすべきだ。育休明けに入園できるよう県として保育士の確保をしっかりすべきだ」と追及してきました。
これに対し、県は「調査は国の要項で行っている。保育士については、待機児童がいるかいないかが一つのモノサシになる。本県の保育士は充足している」(2月県議会で福祉保健部長答弁)などとして、市町村まかせの未責任な対応に終始しています。
日本共産党の市町村議員も各議会でこの問題を追及し、南アルプス市3月議会では松野昇平市議の質問に「厚労省の新定義でカウントすれば待機児童数は年間約80人になると思われる」と答弁がありました。
こうした動きを県内地元紙も「待機児童3町村で可能性」(6月7日付山梨日日新聞)と報じ、県内のテレビ局もニュース報道で取り上げました。
保護者の悲痛な声と党議員の論戦が世論を動かしはじめています。
小越県議は「面積はあるのに保育士がいないから受け入れられない状況がある。特に1人目の子どもでみんなが本当に困っています。待機児童ゼロといいはる県の姿勢を変えて、保育士確保のための予算がじかに保育園に届くことが必要です」と話しました。
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