甲府に新スタジアム計画 建設費・維持費示さず 県民から疑問の声
山梨県の後藤斎知事は、昨年2月にリニア環境未来都市における施設として、現行の山梨中銀スタジアムに加え、新しい総合球技場の建設を表明。7月中に甲府市内2カ所の建設候補地から正式決定するとしています。市内に2つのスタジアムが必要なのか、県民から疑問の声があがっています。
後藤知事は昨年6月、有識者による検討委員会を設置。12月に委員会から提出された報告書では、新スタジアムの収容人数は2万人程度としています(中銀スタジアムは1万7千人)。全国ではスタジアムの建設費用が平均で80億~140億円かかっています。
2月議会で日本共産党の小越智子県議は「建設場所がどこになっても巨額の費用が心配される」と指摘し「建設費用や維持管理費、施設の利用予測、収支の見通しなど具体的数字を示すよう」と求め「建設の是非も含めて慎重に対応すべき」と主張しました。
小越県議はさらに「中銀スタジアムでのサッカーの試合は年間35日。イベントなどを含めて多めに見ても年間50日前後の利用だ。(2つになって)収支がとれるのか、中銀スタジアムの近隣に同規模の施設が必要なのか」と追及しました。
今月3日、なぜつくるかの小越議員の重ねての質問に、県の担当者は「10万人の署名がよせられた。人が多く集まれば経済効果がある」と答えましたが、建設費用もランニング(維持・運営)コストも示されませんでした。
プロスポーツの場合、本来入場売上げの5%が使用料となっていますが、ヴァンフォーレ甲府の経営が不振となった2001年、山梨県も含まれる主要株主4者の協議で減免をきめたことから、中銀スタジアムの施設使用料は入場数に関係なくアマチュアスポーツ並みの9万7200円に抑えられています。
中銀スタジアムだけの年間収支は公表されていませんが、他県のスタジアムの管理費等をみれば、年間1億円以上の赤字と考えられます。県は新スタジアムの使用料についても「毎年の経営状況をふまえて判断する」としています。
県議会で繰り返し問題点をただしてきた小越県議の追及で、新スタジアム建設に対する県民の思いが変わってきました。元自民党県議は、小越県議の議会報告を見て「甲府に2つもスタジアムはいらない。財政的にも維持できない」と電話してきました。
中銀スタジアムの近所に住んでいてJリーグの試合をたびたび観戦している河野さんは「いまでも1万人程度しか入らなくてチケットが余る。子どもが所属するサッカークラブでも選手との交流のために無料で配っています。このうえ2万人のスタジアムがいるのかと思います。渋滞も困るし、納得できる説明をしてほしい」と訴えています。
県内のサッカーファンから「陸上トラックのないスタジアムで臨場感ある試合をみたい」という声がある一方、報告書の内容を知ると「そんなにお金がかかるなら中銀だけでいいと思う」「中銀もアットホームな感じだから改修すればいいのでは」などの声が出されました。
これまでリニア新幹線と一体に建設推進一辺倒だった県議会でも変化が起こりました。
建設候補地の進ちょく状況についての中間報告説明会で、自民党議員や民進党系議員から「建設の是非から検討しなおすべきだ」「身のたけに合ったものに出直しだ」「中銀スタジアムを改修できないか」などの意見があがりました。
小越県議は「利用見込みも財政見込みも言わないまま建設するのはあり得ない。リニアとセットで大型開発を進めるより医療や福祉を優先させるべきだ」と話しています。
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