山梨県議会は3月23日の最終日に「議会基本条例」を賛成多数で可決しました。日本共産党の小越智子県議は、条例制定の審議の過程で骨抜きにされたとして反対しました。条例には県民や地元メディアから疑問や批判の声があがっています。
条例制定は、昨年2月の議会流会で、当初予算案を審議・議決できず、知事の専決処分で執行するという県議会史上最悪の事態が起き、県民から厳しい批判を浴びたことからでした。
県議会は原因究明のため調査特別委員会を設置し、その報告をもとに昨年9月21日、全会一致で議会基本条例を制定することを決めました。
県議会はただちに検討委員会を設置し、審議をスタート。委員となった小越県議は、流会の経過と反省を前文に明記することなど、県民の意見をいかすよう毎回の委員会で発言・提案しました。
検討委員会は、県民から意見聴取会やパブリックコメントを実施しました。1月10日の聴取会では一般公募や検討委員推薦の20代から90代の男女19人が発言。「流会に対する反省を『前文』の中に示すべきだ」と意見が相次ぎました。

ところが、その後の審議で、「基本条例だから」との理由で流会に対する反省の記述は削除されました。さらに県民から多くの意見が寄せられた政務活動費の使途に関する記述も「透明性の確保に努める」にとどまり、議会改革の推進状況を2年ごとに検証する案も「必要に応じて」と後退しました。
マスコミ各紙も「流会に対する責任をよそに議会のメンツを優先した手直し」(毎日新聞3月24日付)「流会の反省踏まえたか」(朝日新聞3月24日付)と書きました。
県民意見聴取会で発言した甲府市の福田良二さん(57)は「私たちは真剣に意見したのに、流会の責任をごまかすためのアリバイづくりに使われたようで残念です。」と話しています。
昨年11月、県民参加による条例の制定などを県議会の鈴木幹夫議長に対して要請を行った市民団体「県議会ウォッチャー」の米山元弘代表は「県議会は県民の声を聞いていない。不祥事に対して県民がどう思っているかわかっていない。」と厳しく批判します。
本会議で条例案に反対した小越県議は「前文に流会の反省が記載されなかったことが反対の最大の理由」と述べ、「県民は、県議会に対して情報公開と透明性の確保、住民参加の保障、県民の声が議会に反映されることを求めています。しかし、県民の信頼を回復する条例になっていない。骨も筋もない条例です」と批判。引き続き、県民とともに条例の抜本的な見直しを求めていく決意を語りました。
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