山梨県議会「海外研修」高裁判決 「私的旅行」断罪 県の対応は
山梨県議会の海外研修制度について、「観光中心の私的旅行」と断じた東京高裁判決(9月19日)。3日に最高裁への上告期限が迫るなか、「本来、自費で行くべきもの」で「県費の充当は違法」と、費用の全額返還を参加議員に求めるよう横内正明知事に命じた判決への知事と県議会の対応に注目が集まっています。(山梨県・志村清)
対象とされた研修は、元職3人を含む11人の県議が参加した4件で、その費用は米国、エジプト・トルコの各研修については「県議会研修要綱」から、韓国、屋久島の各研修には政務調査費から支出されました。
ホワイトハウスやメトロポリタン美術館(米国)、ピラミッド、海峡クルーズ(トルコ)、青瓦台、ヤクスギランド(屋久島)など、どの研修をとっても連日観光名所が並ぶ日程に、貝阿弥誠裁判長は、「海外研修に名を借りた私的旅行で、およそ議員としての職務を行うものだったとはいえない」と断じました。
研修後に議会に提出された「視察報告書」添付の資料についても、「わざわざ(当地を)訪問するまでもなく、我が国において容易に入手できるもの」と指摘。出版物から引用して会ってもいない人と会ったかのように記載したこと(米国研修)を「真摯(しんし)に研修計画を立てたものでない証左だ」と厳しく批判しました。
判決で「私事旅行との疑惑を抱かれてもやむを得ないが違法とまではいえない」とした一審(甲府地裁)の証人尋問で、研修参加の県議が「県議としての見識を高めるため」と述べたことも、裁判長は「本来自らの費用の旅行で行うべきこと」と一蹴しました。
地元各紙、テレビも判決内容に注目して大きく報道。朝日新聞は「市民感覚の逆転判決」と報じ、山梨日日新聞は「税金無駄遣いに警鐘 海外研修強まる廃止論」の見出しを立て「県の財政事情が厳しさを増す中、旅行まがいの視察が恒例行事のように繰り返されることに違和感を訴える声は強い。県議会がどう変わるのかが、問われている」と書きました。
県議会でただ一人、同制度の廃止を求めてきた日本共産党の小越智子県議は、判決が議長の派遣許可をも違法と断じたことをあげて、議長に「県民への謝罪と制度廃止」を申し入れ(9月24日)。30日の一般質問では、「市民感覚にそった画期的で良識のある当然の判決。上告すべきではありません」と横内知事に厳しく迫りました。
知事は答弁に立たず、知事政策局長が、「判決は残念。(内容を)精査して対応する」とだけ答えました。
上告期限を前に、原告代表の山本大志さんは、「『税金の無駄づかいはおかしい』が県民多数の意見です。知事と議会は高裁判決を真正面に受けとめ、上告を断念すべきです」と話しています。
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